-私たちの命を守り健やかな成長を促すために-

プロジェクトについて

命の教育プロジェクトは、2016(平成28)年10月から自殺総合対策推進センター(Japan Support Center for Suicide Countermeasures <JSSC>)との連携事業として取組始めました。当センターは同年4月1日に施行された改正自殺対策基本法の新しい理念と趣旨に基づき発足し、学際的な観点から民間団体、研究者、行政組織、地域住民等のなど関係者が連携して、エビデンスに基づく総合的な自殺対策を推進しています。この初代センター長である本橋豊先生から私たちにお声がけをいただき、北海道教育大学教職大学院(H28年度は有志、H29年度からは教職大学院組織)で取り組むこととなりました。

この研究に参加するに当たり、私どもの教育実践研究担う教職大学院としては「命の教育プロジェクト」としました。幼児、児童生徒、学生、大学院生、そして保護者に対して、命の大切さ、生きることの意味・意義を伝えることを改めて教育の根幹と捉えなければならないと痛感しております。いま、学校関係者の様々な努力にもかかわらず、子どもたちの自尊感情の低さ、他者への思いやりや倫理観の欠如が問題視されています。いじめ、虐待やDV、自殺など、命に関わる問題が社会基盤を揺るがす大きな問題ともなっています。教育実践では、自殺は最も重いテーマで喫緊の課題ですが、その自殺を生じさせる社会環境や教育環境、学校組織や教師そのものの在り方を問い正し、問題を改善することこそ、教育実践研究の根幹であると捉え、命を大切にし、生きることへの志向性を促進することを目的としました。

このような目的を達成するために、主要な教育実践研究の柱を次のように設定し、取り組むことにしました。

  1. 人間形成と成長の基盤となる教育として、「心を育てる読書教育」
  2. 日々の悩みや人間関係の軋轢等から自身を解放する「ストレスマネージメント教育」
  3. 苦難やストレスに耐え立ち向かう「レジリエンス教育」
  4. 保健衛生に留意し体づくりや健康を促進する「健康教育」
  5. 自殺者を一人でも減少させる人間関係や社会基盤づくりを推進する自殺総合対策「命の教育」(特に、SOSの出し方・気づき方教育、自殺対策学習)
  6. 教職大学院の「命の教育」に関する研究・実践活動

まず、①の「心を育てる読書教育」では、健やかな生活や成長を促進し、自己実現を支援する図書(児童書、一般書)の収集と紹介を行います。現在、教職大学院では、札幌校、旭川校、釧路校、函館校(平成29年度開校)の4校に図書を配架しています。また、これとは別に、「命の教育」に関する教員や大学院生用の研究書・専門書も購入しています。教育研究・実践を推進する上で必要となる文献・論文等をも収集し、教師教育の観点から児童生徒、学生を指導する教員の資質向上を図ることをめざしています。

次に、②の「ストレスマネジメント教育」と③の「レジリエンス教育」については、日常生活、すなわち、学校や職場、家庭等でのストレスを如何に回避するか、解決するか。ストレスとは何か、また、その対処方法をどうすればよいのか。こうしたことを学ぶことによって、自身の健康や生命を守る手立てを身につけることができます。併せて、レジリエンス(resilience)、すなわち、日本語では「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」「防御力」「逆境力」とも言われる力をつける教育も大切です。これらの教育についても取り組んでいきます。

そして④の「健康教育」は、保健衛生や医療に関する基本的な知識と技能、健康や体力の維持・促進に関する知識や技能を身につけさせる教育です。こうした教育は、学校では、特に養護教諭や保健体育の教員の役割が重要となります。また、保健医療関係者や機関との連携促進を図ることも大切です。私どもはこのような教育にも積極的に取り組みます。

続いて⑤の「自殺総合対策」については、上記①~④を含む自殺に関する総合的な対策の中で、教育が果たす役割の重要性を改めて確認し、温かい社会や組織づくりを促進する教育を展開します。特に学校や学級においては、学習者に自己有用感や自尊感情と他者存在の意義を実感させ、温かで信頼し合える集団生活を送ることができるようにする学校組織マネジメントを重視します。自殺という喫緊の重要課題については、子ども達にはSOSの出し方教育、教師や保護者にはSOSの気づき方教育、両者併せて自殺対策学習を展開します。

最後に⑥教職大学院の「命の教育」に関する研究・実践活動「教職大学院講義と教員免許状更新講習への『命の教育』の組み込み」については、すでに、教職大学院の講義科目では、「生徒指導の意義と今日的課題」「『生きる力』を育む学級・学年経営の実際と課題」「学校組織マネジメントの理論と実際」等の講義内容に組み込んでいます。また、学校の教員を対象とした教員免許状更新講習でも、「キャリア教育の方法」「学校文化と教師」「動作とイメージを使ったストレスマネジメント教育」等の講義を実施しています。

  1. 心を育てる読書のスゝメ
  2. ストレスマネジメント
  3. レジリエンス(逆境力)
  4. 健康教育
  5. 自殺総合対策
  6. 教職大学院の「命の教育」に関する研究・実践活動

組織図

北海道教育大学教職大学院「命の教育」プロジェクト組織図

2017年4月から

「命の教育」プロジェクト

代表
教職大学院長 井門正美

副代表
院長補佐 補佐(4校連携総務) 小野寺基史
補佐(札幌校) 梅村武仁
補佐(旭川校) 水口正博
補佐(釧路校) 近藤逸郎
補佐(函館校) 中村吉秀

「命の教育」プロジェクト事務局

組織図

プロジェクトメンバー(各校)

札幌校
井門正美
梅村武仁
小野寺基史
川俣智路
野寺克美
姫野完治
前田輪音
松橋 淳
龍島秀広
旭川校
稲葉浩一
笠井稔雄
藤川 聡
藤森宏明
水上丈実
水口正博
釧路校
梅本宏之
近藤逸郎
寺嶋正純
森健一郎
安井智恵
安川禎亮
函館校
阿部二郎
小田将之
小松一保
杉本任士
中村吉秀
橋本忠和
三浦清和